iOS端末でWiFi接続パスワードを共有する3つの方法

はじめに

この記事では、macOSおよびiOS端末でWiFiの接続パスワードを共有する方法を紹介します。

このような場合にお役立てください。

  • 職場、学校、家庭などで多くの端末にWiFiパスワードを設定する必要がある
  • WiFi設定を配布するプログラムを製作する

個別の方法を解説する記事はありましたが、方法をまとめて比較している記事がありませんでした。 どの方法がどのような場面に適しているのか、比較検討していただければ幸いです。

想定する環境

この記事は以下の環境を想定しています。

  • iOS 13.5
  • macOS 10.15

記事を読む前に、お手元の環境をご確認ください。

方法1 : iCloudキーチェーン

同一のAppleIDでサインインしている端末同士なら、iCloudキーチェーンで接続パスワードを共有できます。

Apple - iCloud キーチェーンを設定する

iCloud キーチェーンには、クレジットカード番号と有効期限日 (セキュリティコードの保存や自動入力はされません)、パスワードとユーザ名、Wi-Fiのパスワード、インターネットアカウントなどが保存されます。

使いどころ

自分自身が所有する複数の端末で、接続パスワードを共有および更新するのに適しています。

共有の手順

iCloudキーチェーンで接続パスワードを共有している場合、WiFiアクセスポイントに接続するだけでパスワードが自動入力されます。特別な手順は必要ありません。

注意点

iOSの設定からネットワーク設定を削除すると、iCloudキーチェーン上の接続パスワードも同時に削除されます。パスワードを共有している端末で再設定が必要になるのでお気をつけください。

方法2 : Bluetooth

一定の条件を満たしたiOS端末同士なら、Bluetoothで接続パスワードを共有できます。

Apple - iPhone、iPad、iPod touchでWi-Fiのパスワードを共有する方法

使いどころ

家族、友人、職場などで限定した相手に接続パスワードを共有、配布するのに適しています。

準備

パスワードを送信する端末を端末A、受信する端末を端末Bと呼びます。それぞれの端末で以下の準備が必要です。

端末ABで共通

  • AppleIDにサインインしている(インターネットはオフラインでもOK)
  • WiFiがONになっている
  • BluetoothがONになっている
  • インターネット共有がOFFになっている
  • 連絡先アプリに相手のAppleIDと紐付けられたメールアドレスが登録されている

端末A

  • 画面ロックが解除されている
  • 共有したいWiFiアクセスポイントに接続している

端末B

  • 端末AのBluetoothが届く範囲にいる

共有の手順

端末Bで共有したいWiFiアクセスポイントに接続します。すると端末Aに以下のダイアログが表示されます。

画像出典 - Apple

端末Aのダイアログで許可をすると、端末Bにパスワードが共有されます。

方法3 : QR Wi-Fi

QRコードでもWiFiのSSIDとパスワードが共有できます。

QR Code Recognition on iOS 11

こちらの動画の3:30から、QR Wi-Fiが触れられています。

使いどころ

OSの異なるスマホ同士で接続パスワードを共有するのに適しています。また、イベント会場など一時的に不特定多数の人に接続パスワードを配布するのにも適しています。

準備

まず、以下の構文にしたがって文字列を作ります。

WIFI:S:【SSID名】;T:【WEP or WPA】;P:【パスワード】;;

SPはSSID名と接続パスワードです。TはWiFiの暗号化方式を指定します。最近のWiFiアクセスポイントはほぼWPAを使用しています。S,T,Pの順番は入れ替えても動作します。

たとえばSSIDがTEST-A-789、パスワードがwifi-passwordの場合

WIFI:S:TEST-A-789;T:WPA;P:wifi-password;;

となります。

次に、この文字列をQRコード化します。QRコードは以下の方法で生成できます。

iPhoneで書いた住所やURLなどの短い文章・文字列はQRコード化して他のスマホへ

この記事では、ダイアログで入力された文字列をQRコード化しています。 ショートカットを変更して、入力元をクリップボードにするのもオススメです。

共有の手順

iOS端末のカメラを起動し、このQRコードを読み取ると通知がポップアップします。この通知をタップすれば、端末がWiFiアクセスポイントに接続されます。

また、このQRコードはAndroid端末でも読み込めます。

注意点

WebサービスでQRコードを生成すると、サービスのオーナーに接続パスワードが暗号化されない状態で渡ります。接続パスワードを含んだQRコードはネットワークを介さず、端末内で生成することをオススメします。

QRコードには接続パスワードが平文で格納されています。そのため撮影した写真からも簡単にパスワードが復号できます。イベントなどで不特定多数がQRコードを撮影した後は、接続パスワードを変更しましょう。

参考記事

iPhone で QR コードからの Wi-Fi 接続が意外と知られていなかったので補足 QRコードでお手軽設定

以上、ありがとうございました。