みなさん、日本語って難しいですよね。
エンジニアは日常的に日本語文章を制作します。しかし文章の品質を保つのはとても難しい作業です。この記事ではエンジニアが日本語文章を校正する上で助けになるツールを紹介します。私たちはエンジニアなので、難しい作業こそツールで楽をしましょう。
正しく、簡潔で、読みやすい日本語は文章の理想です。この理想を要素ごとに分解すると以下のようになります。
こうした文章の品質向上に必要なのが次の3つの作業です。
このうち校正はある程度の自動化が可能です。校閲と推敲は内容の修正ですので自動化が難しいですが、校正であればツールの補助を受けられます。
この記事は、日本語文章を制作するエンジニアを対象としたものです。
この記事では、次の2つの作業を対象とします。
ツールを選ぶ前提として、以下の2点を条件としました。
これらの条件に合わないツールは、どれだけ品質が高くとも技術系ドキュメントの制作には使えません。
❌ 守秘義務のある文章はWebアプリケーション型の校正ツールに入力してはいけません。
守秘義務契約の内容にもよりますが、厳密に解釈した場合Webサービスに入力しただけで情報流出と判断される場合があります。Webアプリケーション型の校正サービスを利用する場合、一般公開する文章だけを入力しましょう。
守秘義務が存在する日本語を機械的にチェックしたい場合は、textlintの導入を検討してください。
ここからは校正ツールの紹介をします。それぞれのツールに得意なことがありますので、その点にフォーカスしてご紹介します。
テキスト校正くんはVisual Studio Codeの機能拡張です。プレーンテキストかマークダウン形式のファイルの日本語校正をします。
テキスト校正くんの最大の利点はリアルタイムチェックです。タイピング中に文章を次々とチェックします。またIT系の固有名詞辞書を抱えており、サービス名やソフトウェア名の表記揺れを補正します。
あなたがVisual Studio Codeを普段から使っているならぜひインストールすべき機能拡張です。
Qiita Typo CheckerはWebアプリケーション型の日本語校正ツールです。QiitaのユーザーIDを入力することで、そのユーザーの全記事を一括チェックする機能があります。
enno.jsはWebアプリケーション型の日本語校正ツールです。曖昧な表現、変換ミス、スペルミスの辞書を抱えており、技術系に限らず広く日本語文章を校正できます。
とくに曖昧な表現の指摘が優秀です。たとえば「確認」という単語には複数の用法があるので文脈に合わせて置き換えるか、言葉を補うことを推奨します。広い意味のある言葉は便利ですが、読者に誤解と混乱を与えます。1つの意味にしかとれない文章は読みやすくなります。
ATOKクラウドチェッカーはJustSystemが提供するクラウドサービスです。ATOKパスポートプレミアムというサブスクリプションサービスの一部として提供されています。今回ご紹介するツールの中では唯一の有償サービスです。
他のツールと同様に曖昧な表現や変換ミス、スペルミスの指摘をしますが、ATOKクラウドチェッカーはさらに踏み込んで代替表現の提案をします。類語辞書にあたる必要がなくなり、文章の修正時間を短縮できます。
校正能力は今回ご紹介したツールでもっとも強力ですが、URLやコードを本文の一部として認識してしまいます。エラーを起こさないので無視はできますが、この点は残念です。
このサービスは、バックスペース制御文字backspace (U+0008)
を入力するとエラーを起こします。Visual Studio Code + macOS環境では、日本語変換時に誤ってバックスペース制御文字を入力してしまうバグがあります。ATOKクラウドチェッカーが利用できません。しばらくしてから再実行してください。
というダイアログが表示されたら、バックスペース制御文字の混入を疑ってみてください。
参考記事 Visual Studio Code の日本語問題まとめ : バックスペース問題 【VSCode】Macで文章作成中に制御文字(0x08)が勝手に混ざるので、とりあえず対策した
以上、ありがとうございました。